京都市南区で新しく飲食店やオフィスを開業される事業者の皆さんは、店舗や事務所から出るごみをどう処理すればよいかご存じでしょうか?「黄色いネットの集積所に出してはいけないと聞いたけれど、具体的にどうすれば…」「ごみの量が少ないのに高額な回収契約を結ぶのはもったいない」といった悩みを抱えている方は少なくありません。
京都市では、事業活動から生じるすべての廃棄物は規模に関係なく「事業ごみ」として扱われ、家庭ごみとは異なる処理ルートでの廃棄が法律で定められています。適切に処理しなければ廃棄物処理法違反となり、罰則の対象となる可能性もあるため、正しい知識を持つことが重要です。
この記事では、京都市南区における事業ごみの基礎知識から、少量排出事業者向けの市の収集制度、クリーンセンターへの持ち込み方法、信頼できる許可業者の見極め方まで、実践的な情報をお届けします。開業準備中の方も、すでに営業されている方も、ぜひ参考にしてください。
目次
京都市南区で営業する事業者にとって、廃棄物処理法に基づく廃棄物の分類を理解することは事業運営の基本となります。京都市では廃棄物を発生源によって明確に区別しており、事業活動にともなって排出されるものはすべて「事業ごみ」に該当します。
事業ごみとは、飲食店・小売店・オフィス・工場・病院など、あらゆる営利・非営利の事業活動から発生する廃棄物全般を指します。南区で新規開業される小規模なカフェや個人経営の店舗であっても、事業として営まれている以上、そこから出るごみは事業ごみとして扱われることになります。
特に注意すべき点として、事業ごみを家庭ごみの集積所(黄色のネット)に出すことは法令で厳しく禁じられています。家庭ごみと事業ごみは処理の仕組みが完全に分けられており、事業者には自らの費用負担で適切に処理する責任があります。
事業ごみはさらに、法令に基づき「事業系一般廃棄物」と「産業廃棄物」の2種類に分類されます。それぞれ処理手順や委託先となる業者が異なるため、南区の事業者もこの区分を正確に把握しておく必要があります。
違反した場合の罰則も非常に重いものです。事業ごみを家庭ごみの集積所に不法に出すなどの行為は、廃棄物処理法違反として5年以下の懲役または1,000万円以下の罰金(法人の場合は最大3億円以下の罰金)が科される可能性があります。
参考:事業ごみとは(京都市)
産業廃棄物とは、廃棄物処理法で規定された特定の20品目を指し、京都市のクリーンセンターでは受け入れができません。これらは産業廃棄物処理業の許可を持つ専門業者への委託が法律で義務づけられています。
南区の事業者が日常的に排出する可能性がある主な産業廃棄物は以下の通りです。
| 分類 | 具体的な品目 | 処理方法 |
|---|---|---|
| 金属・ガラス・陶磁器くず | 空き缶、空きビン、陶磁器の破片、鉄くず、ガラスくず | 産業廃棄物処理業者へ委託 |
| 廃プラスチック類 | ビニール袋、発泡スチロール、プラスチック製の容器・包装材 | 専門業者による回収・処理 |
| 廃食用油・廃油類 | 飲食店の使用済み天ぷら油、機械油、潤滑油 | 専門処理が必要 |
| 廃酸・廃アルカリ | 酸性やアルカリ性の薬品類 | 有害物質として専門処理 |
| がれき類・燃え殻 | コンクリート片、レンガくず、焼却灰 | 建設系廃棄物として処理 |
| 動植物性残さ | 食品製造業から出る豆腐かす、醤油かす、酒かすなど | 食品製造業由来のもの限定 |
南区は京都駅に近く飲食店も多いエリアですが、一般的な飲食店から出る生ごみ(調理くず・食べ残し)は事業系一般廃棄物に該当します。一方、使い捨てのストローやプラスチック容器、廃食用油などは産業廃棄物となるため、分別には十分な注意が必要です。
事業系一般廃棄物は、産業廃棄物20品目に該当しない事業活動由来の廃棄物全般を指します。京都市南区では、以下のような廃棄物が事業系一般廃棄物として扱われます。
主な事業系一般廃棄物の例
これらの事業系一般廃棄物については、京都市の許可を受けた一般廃棄物収集運搬業者に委託するか、事業者自身が南部クリーンセンターへ直接持ち込むことで処理できます。
注意点として、同じ素材でも排出する業種によって分類が変わる場合があります。たとえば、通常の飲食店やオフィスから出る紙くずや木材は事業系一般廃棄物ですが、建設業・製材業・パルプ製造業など特定業種から出る同じ素材は産業廃棄物として扱われます。
南区から搬入可能な南部クリーンセンターでは受け入れできない廃棄物もあります。これらは産業廃棄物や特別な処理が必要な品目として、専門のルートで処分しなければなりません。
処分できない主な品目
これらを事業系一般廃棄物に混入させると、回収業者が収集を拒否したり、追加料金が発生したりする可能性があります。排出前の正確な分別を心がけ、廃棄物の種類ごとに適した処理方法を選択することが大切です。
南区で事業ごみを処理するには、主に3つの方法があります。事業の規模、ごみの排出量、予算、業務への影響などを総合的に判断して、自社に最適な方法を選びましょう。
南区で最も一般的に利用されているのが、京都市の許可を持つ一般廃棄物収集運搬業者との定期回収契約です。事業系一般廃棄物の収集運搬には京都市長の許可が必須であり、無許可業者への委託は法令違反となるため注意が必要です。
定期回収の主なメリット
料金の目安
| 回収頻度 | ごみ量の目安 | 月額料金(参考) |
|---|---|---|
| 週1回 | 45L袋×4袋程度 | 6,000~12,000円 |
| 週2回 | 45L袋×8袋程度 | 12,000~20,000円 |
| 週3回以上 | 大量排出 | 18,000~35,000円以上 |
料金は「収集運搬費用」と「処分費用(クリーンセンター搬入手数料)」を合わせた金額で設定されています。2023年10月からクリーンセンターの搬入手数料が改定されており(100kgまで一律1,500円、100kg超過分は10kgごとに200円追加)、許可業者の料金にも影響が出ている場合があります。
南区は京都駅に近くアクセスが良好なエリアですが、東九条など交通の混雑しやすい地域では、回収時間帯について業者と調整しておくことが重要です。
店舗の改装や大掃除などで一時的に大量の廃棄物が出る場合には、スポット回収の利用が便利です。定期契約をしていない事業者でも利用でき、必要なときにだけ依頼できる柔軟性が魅力です。
スポット回収の主な特徴
料金の目安
| ごみ量 | 料金目安 | 備考 |
|---|---|---|
| 100~200kg程度 | 6,000~12,000円 | 一時的な多量ごみ |
| 軽トラック1台分 | 12,000~28,000円 | 粗大ごみ・混合ごみ |
| 2トントラック1台分 | 35,000~55,000円 | 大規模改装・移転時 |
南区は幹線道路が多く比較的アクセスしやすい地域ですが、業者によっては出張費が別途かかる場合もあります。複数の業者から見積もりを取って比較することをおすすめします。
処理費用を最小限に抑えたい事業者には、クリーンセンターへの自己搬入も選択肢の一つです。ただし、搬入できるのは事業系一般廃棄物のみで、産業廃棄物は受け入れてもらえません。
南区から利用可能な施設
| 施設名 | 南部クリーンセンター | 東北部クリーンセンター |
|---|---|---|
| 所在地 | 伏見区横大路八反田29 | 左京区静市市原町1339 |
| 南区からの距離 | 約4km(車で約12分) | 約13km(車で約30分) |
| 受付日 | 月曜日~金曜日、第2・第4土曜日 | 月曜日~金曜日、第2・第4土曜日 |
| 受付時間 | 午前9時~正午、午後1時~4時30分 | 午前9時~正午、午後1時~4時30分 |
搬入手数料
| 現行(2023年10月改定後) | 100kgまで一律1,500円、100kg超過分は10kgごとに200円追加 |
|---|---|
| 改定前(2023年9月まで) | 100kgごとに1,000円 |
2024年10月から事前予約制度が導入されています。搬入を希望する日の前日までに、インターネット予約システムまたは電話での予約が必須となっています。予約なしでの持ち込みはできませんので、必ず事前に手続きを完了させてください。
南区からは南部クリーンセンターが最も近く、国道1号線や外環状線からアクセスしやすい立地です。東九条エリアからであれば、10分程度で到着できるでしょう。
京都市では無許可業者への委託は法律違反となり、委託した事業者側にも法的責任が生じます。適正な廃棄物処理を実現するために、信頼性の高い許可業者を選ぶことが不可欠です。
業者選定で最初に確認すべきは、その業者が京都市から正式な許可を取得しているかどうかです。
事業系一般廃棄物の収集運搬ができるのは、京都市の「一般廃棄物収集運搬業許可」を持つ業者だけです。産業廃棄物を扱う場合には、京都府による別の許可も必要となります。京都市の許可を持つ業者であれば、事業所の所在地に関係なく市内全域でサービスを提供できます。
許可の有無は、業者のホームページや名刺に記載されている許可番号で確認できます。「どんなごみでも格安回収」といった過度に魅力的な宣伝には注意が必要です。正規の許可業者であれば、必ず許可番号を明示しているはずです。
京都市内には60社以上の許可業者がありますので、複数社から見積もりを取って比較検討することをおすすめします。
信頼できる業者との取引では、契約内容を明確な書面として残すことが基本です。廃棄物処理法では、事業系廃棄物の委託契約を書面で行うことが義務づけられています。
契約書には、回収頻度、回収曜日・時間、対象となるごみの種類、料金体系、支払条件、契約期間、解約条件などが具体的に記載されているべきです。料金については、基本料金だけでなく、どのような場合に追加料金が発生するのかも明記されているか確認しましょう。
南区の事業者の場合、京都駅周辺など交通量の多いエリアでは、回収場所や時間帯について契約書で明確にしておくことが重要です。早朝・深夜収集が必要な場合、その旨と追加費用の有無も確認してください。
事業ごみの適正処理には、処理の過程を記録・追跡する仕組みが欠かせません。信頼できる業者は、事業系一般廃棄物の処理証明書や、産業廃棄物のマニフェスト(産業廃棄物管理票)について正確な知識を持ち、適切に対応してくれます。
マニフェストは、産業廃棄物の流れを把握し、不法投棄を防ぐための管理票です。排出事業者がマニフェストを発行し、収集運搬業者と処分業者がそれぞれ適正に処理したことを確認する制度になっています。
業者選定の際には、「処理証明書やマニフェストの発行についてどのようなサポートがあるか」「記載方法や保管期間についての説明はあるか」を確認することをおすすめします。経験豊富な業者であれば、これらの手続きについても丁寧に指導してくれるはずです。
透明性の高い営業姿勢を持つ業者を選ぶため、料金体系が明確に示されている業者を優先しましょう。
見積もり内容では、回収できる袋数、回収頻度、袋あたりの単価などの基本項目が明記されているかを確認してください。南区の事業者の場合、立地条件によっては別途出張費が発生することもあるため、料金システムについては特に詳しく確認が必要です。
「処理費込み一式○万円」といった不明瞭な見積もりや、契約後に「追加料金が必要です」と言われるような業者は避けるべきです。複数の業者から相見積もりを取り、料金だけでなくサービス内容も比較検討することをおすすめします。
特に早朝・深夜収集の割増料金(基本の30~100%増)や、2階以上からの手運び搬出にともなう追加費用(階ごとに500~1,000円)など、立地条件による追加費用については、事前に確認しておきましょう。
長期的な取引関係を築くためには、候補業者の実績と対応力を慎重に評価することが大切です。
京都市内での営業年数や、南区エリアでの回収実績の有無を確認しましょう。インターネット上の利用者評価や口コミを調べたり、近隣の同業者からの推薦を得ることも有効な手段です。会社の規模や保有車両台数、従業員の資格保有状況なども判断材料として活用できます。
また、収集日に業者が来なかった場合や、回収されなかったごみがあった場合の緊急連絡先があるか、営業時間外での相談受付体制なども、業者選定における重要な評価ポイントです。南区は京都駅に近く交通の便が良い反面、イベント時などは混雑しやすいため、臨機応変な対応ができる業者を選ぶことが望ましいでしょう。
事業ごみの処理方法について検討した結果、専門業者への委託が最適だと判断された場合は、実績豊富で信頼できる業者選びが成功の鍵となります。
「ごみの窓口」では、京都市発行の一般廃棄物収集運搬業許可を保有し、南区をはじめとする京都市内全域で豊富な実績を積み重ねてまいりました。事業所の業種や規模、営業時間に合わせた柔軟なサービス提供により、お客様のニーズに最適なプランをご提案いたします。
南区特有の立地特性にも配慮し、京都駅周辺や東九条エリアなど交通量の多い地域での回収時間の調整や、小規模事業者向けの少量回収プランなど、事業運営に支障をきたさないサービスを提供いたします。飲食店の生ごみや廃食用油、オフィスの古紙類など、業態ごとの特殊なごみにも対応可能です。
京都市南区での事業ごみ処理でお困りの方は、ぜひ「ごみの窓口」までお気軽にご相談ください。無料見積もりで最適なプランをご提案し、適正な廃棄物処理による法令遵守と環境保護をサポートいたします。
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山本 智也代表取締役
資格:京都3Rカウンセラー・廃棄物処理施設技術管理者
廃棄物の収集運搬や選別、営業、経営戦略室を経て代表取締役に就任。 不確実で複雑な業界だからこそ、わかりやすくをモットーにあなたのお役に立てる情報をお届けします。