グリストラップ清掃に関係する法律とは?義務や清掃頻度・廃棄物処理のルールを解説

グリストラップ清掃に関係する法律とは?義務や清掃頻度・廃棄物処理のルールを解説

「ビルの管理会社から清掃記録の提出を求められた」「業者に定期清掃を勧められたが、法律上どこまでが義務なのか判断できない」。複数の飲食店を運営していると、グリストラップの管理をめぐってこうした場面に直面することがあります。

グリストラップ清掃を正面から規定した単独の法律はなく、建築基準法や下水道関係法令、食品衛生法、廃棄物処理法など複数のルールが組み合わさって管理義務を形づくっています。

本記事では、グリストラップ清掃に関わる法律・行政基準の全体像から、清掃で発生する廃棄物の区分、マニフェストを含む適正処理の手順、複数店舗でも運用できる管理体制の作り方までを整理して解説します。京都市内で店舗を運営されている方は、ぜひ社内ルールづくりの参考にしてください。

【結論】グリストラップ清掃に一律の法定頻度はないが適正管理は必要

【結論】グリストラップ清掃に一律の法定頻度はないが適正管理は必要

グリストラップの清掃回数を直接定めた全国一律の規定はない、というのが法律面での答えです。ただし、それは放置してよいという意味ではなく、清掃を怠れば複数の法令に抵触するリスクが生じます。この2点を切り分けて理解することが、管理体制を整えるうえでの出発点になります。

すべての店舗に共通する清掃回数は法律で決められていない

「グリストラップは週1回清掃しなければならない」といった、すべての飲食店に共通する全国一律の法定頻度は存在しません。回数を守らなかったこと自体に直接科される罰則も設けられていません。

一方、京都市の「下水道排水設備指針と解説」は、通常の維持管理周期として、次のような基準を示しています。

清掃箇所 維持管理の周期
バスケットの清掃 毎日1回
グリース(浮上油脂)の除去 週1回
残渣の除去・槽全体の清掃 月1回
トラップ管内部の清掃 2~3か月に1回

これは単なる任意の目安ではなく、市が遵守を求める技術基準として位置づけられています。

参考:京都市下水道排水設備指針と解説(京都市上下水道局)

法定頻度がないことは清掃しなくてもよいという意味ではない

頻度の定めがなくても、清掃を怠った結果には法的な責任が伴います。油脂が下水道へ流出して排除基準を超えれば、違反の状況に応じて水質の改善や下水排除の一時停止を命じられる可能性がありますし、油の塊(オイルボール)が原因で下水道管の補修工事が必要になったと認定されれば、下水道法第18条に基づき費用の負担を求められるおそれもあります。

悪臭や害虫が発生すれば、保健所の改善指導や管理会社からの是正要請につながりかねませんし、清掃で出た油脂・汚泥を誤ったルートで処分すれば廃棄物処理法違反です。「頻度の義務がない」ことと「管理責任がない」ことは、まったく別の話なのです。

グリストラップ清掃に関係する法律・行政基準

グリストラップ清掃に関係する法律・行政基準

グリストラップの設置と維持管理には、大きく分けて次の法令・基準が関わります。

  • 建築基準法(阻集器の設置義務)
  • 下水道法・京都市の条例や排水設備指針(水質基準と維持管理)
  • 食品衛生法(施設の衛生的な維持管理)
  • 建築物衛生法(特定建築物の排水設備清掃)

    建築基準法・下水道関係法令・京都市の排水設備指針

    グリストラップ(グリース阻集器)は建築基準法上の「排水の配管設備」に位置づけられます。昭和50年建設省告示第1597号は、排水設備の機能を著しく妨げ、または損傷させるおそれのある油脂等を含む汚水に対し、有効な位置へ阻集器を設けるよう求めており、京都市の指針も業務用厨房や社員食堂などへの設置を示しています。

    下水道関係では、京都市を含む多くの自治体が条例で排除水の水質基準を設けており、京都市では動植物油脂類30mg/L以下などが定められています。基準を守れない場合は、排水処理施設の設置・改築などの見直しを求められることがあります。なお、京都市の指針上、グリース阻集器は「除害施設」とは別の設備として扱われます。

    参考:排水基準について(京都市上下水道局)

    食品衛生法では排水設備を衛生的に維持することが求められる

    食品衛生法に清掃回数の規定こそないものの、HACCPに沿った衛生管理の制度化に伴い、営業者には排水溝や排水設備を含む施設を衛生的に維持管理することが求められています。グリストラップの汚れを放置して悪臭や害虫が発生している状態は、一般衛生管理が機能していないと評価されかねません。

    保健所の立入検査では厨房まわりの衛生状態も確認対象となるため、施設の衛生管理計画や手順書にグリストラップ清掃を位置づけ、実施記録を残しておくことが実務上の備えになります。

    特定建築物では排水設備を6か月以内ごとに1回清掃する

    店舗や事務所など特定用途に使われる部分の延べ面積が3,000㎡以上の建築物は、原則として建築物衛生法の「特定建築物」に該当し、排水設備の清掃を6か月以内ごとに1回行うことが義務づけられています。

    この義務を負うのは「特定建築物の維持管理について権原を有する者」で、所有者に限らず占有者などが該当することもあります。テナント厨房内のグリストラップを誰が清掃するかまでは法律で決まっていないため、管理会社から清掃記録の提出を求められたときは、権原関係や賃貸借契約・管理規約で分担を確認し、自店負担分の清掃と記録を整えておきましょう。

    参考:建築物環境衛生管理基準について(厚生労働省)

    清掃で発生した廃棄物には廃棄物処理法が適用される

    清掃で発生した廃棄物には廃棄物処理法が適用される

    見落とされがちなのが、清掃後に出る廃棄物の扱いです。グリストラップの廃棄物は、槽のどの部分から出たかや内容物の性状によって法律上の区分が変わります。区分を誤ると、清掃をきちんと行っていても廃棄物処理法違反になり得るため、処分ルートまで含めた管理が欠かせません。

    発生箇所 廃棄物の区分 処理の委託先
    第1槽バスケットの調理くず・食べ残し 事業系一般廃棄物 一般廃棄物収集運搬業許可業者
    (自己搬入も可)
    水面に浮いた油脂 産業廃棄物(廃油) 産業廃棄物処理業者
    槽底の泥状のかす 産業廃棄物(汚泥) 産業廃棄物処理業者

    バスケットの生ごみは事業系一般廃棄物として処分する

    飲食店の場合、第1槽のバスケットにたまった調理くずや食べ残しなどの固形物は、京都市の見解では事業系一般廃棄物に分類されています。水気を十分に切ったうえで、京都市の一般廃棄物収集運搬業許可を持つ業者に回収を委託するか、事前予約と受入基準の確認をしたうえで排出者自身がクリーンセンターへ搬入して処理します。

    家庭ごみの集積所には出せませんし、後述する油脂や汚泥と混ぜると区分が崩れてしまいます。従業員が日常清掃で取り除く範囲だからこそ、店舗ごとに排出ルールをそろえておきたい部分です。

    参考:飲食店等のグリーストラップに溜まったものの取扱い(京(みやこ)さんぱいポータルサイト)

    浮上油脂・沈殿汚泥は産業廃棄物として処分する

    水面に浮いた油脂は「廃油」、槽底にたまった泥状のかすは「汚泥」として、京都市ではいずれも産業廃棄物に区分されます。生ごみと同じ感覚で事業系一般廃棄物の回収に混ぜたり、下水へ流したりする処理は認められず、許可を受けた産業廃棄物処理業者への委託が必要です。

    不法投棄や無許可業者への委託は、いずれも廃棄物処理法第25条により5年以下の拘禁刑もしくは1,000万円以下の罰金(併科あり)の対象です。法人の業務として不法投棄が行われた場合は同法第32条の両罰規定で3億円以下の罰金が科されるおそれがあり、無許可業者への委託でも法人に1,000万円以下の罰金が及び得ます。過去の処分方法に不安があれば、早めに処理ルートを見直しておきましょう。

    書面契約とマニフェストで最終処分まで確認する

    産業廃棄物は、処理を委託しても排出事業者としての責任がなくなるわけではなく、最終処分の終了まで適正処理を確認する立場に置かれます。委託の際は収集運搬業者・処分業者それぞれと書面で契約を結び、紙のマニフェスト(産業廃棄物管理票)であれば引き渡し時に交付し、返送される伝票で処理完了を確認する義務があります。

    紙マニフェストには5年間の保存と、毎年6月30日までに前年度の交付状況を事業場ごとに都道府県知事等へ報告する事務が伴います。電子マニフェスト(JWNET)で運用した分は、情報処理センターが記録の保存と行政報告を担うためこの報告が不要になります。店舗数が多いほど電子化のメリットは大きいでしょう。

    法律に沿ったグリストラップ清掃の管理体制

    法律に沿ったグリストラップ清掃の管理体制

    法令の内容を踏まえると、店長ごとの判断に委ねる運用から、本部が仕組みとして管理する体制への切り替えが重要になります。ポイントは次の2つです。

    • 清掃の標準化と記録
    • 業者選定

      日常清掃と定期清掃のスケジュール・記録を作成する

      店舗によって頻度がばらつく状態を解消するには、京都市の指針が示す周期を土台に、油脂の量や槽の汚れ具合に応じて間隔を調整しながら、全店共通のスケジュールを定めることが有効です。バスケットは毎日・浮上油脂は週1回・槽全体は月1回・トラップ管は2~3か月に1回といった形で、従業員が行う日常清掃と業者へ委託する定期清掃の分担を明確にしましょう。

      あわせて、記録様式を統一し、本部で保管する運用にしておけば、ビル管理会社や保健所から求められた際にすぐ提出できます。記録様式には次の項目を盛り込んでおくと安心です。

      • 実施日
      • 担当者
      • 清掃箇所
      • 廃棄物の処分先

        記録は「適正に管理している」ことを客観的に示す材料であり、テナント契約上のトラブル予防にもつながります。

        許可・処理ルート・マニフェスト対応を確認して業者を選ぶ

        業者選びでは、清掃の技術や価格だけでなく、廃棄物を法令どおり処理できるかを必ず確認しましょう。具体的なチェックポイントは以下のとおりです。

        • 収集運搬・処分それぞれの業者が産業廃棄物の許可を持っているか
        • 許可品目に廃油・汚泥が含まれているか
        • 最終処分先まで説明できるか
        • 書面契約とマニフェスト発行に対応しているか

          相場を大きく下回る料金で引き受ける業者のなかには、許可のない処理や不適正なルートを使うケースが紛れており、委託した店舗側が責任を問われるリスクがあります。京都市内で複数社から見積もりを取り、料金の内訳と処理の流れを比較したうえで、店舗数が増えても一括で任せられる業者を選ぶと管理が楽になります。

          京都市でグリストラップ清掃を依頼するなら「ごみの窓口」へ

          京都市でグリストラップ清掃を依頼するなら「ごみの窓口」へ

          京都市内でグリストラップ清掃と廃棄物の適正処理をまとめて任せられる業者をお探しなら、ごみの窓口」にご相談ください。

          ごみの窓口は、京都市伏見区で創業75年以上の実績を重ねてきた山本清掃が運営するサービスです。京都市の一般廃棄物収集運搬業許可のほか、汚泥・廃油を含む産業廃棄物収集運搬業の許可を保有し、電子マニフェストにも対応。グリストラップ清掃から生ごみ・油脂・汚泥の区分に応じた適正処理、書類面のサポートまで一貫して対応いたします。

          複数店舗のスケジュールを統一したい、清掃記録の提出を求められて困っているといったご相談にも、業態や規模に合わせた最適なプランをご提案いたします。

          お見積もりは無料で、作業内容と料金を事前に明確にご提示いたしますので、お電話LINEお問い合わせフォームからお気軽にお問い合わせください。